続いて会見は質疑応答へ移った。質疑応答は吉田と中村のみに集中した。
Q:両者にとって、イメージとして、どんな試合になりそうですか?
吉田「全くイメージできない。どうなるんですかね。相手に合わせるタイプなので、打撃戦かな。そのほうが会場も盛り上がるでしょ」
中村「ずっと吉田さんと一緒に練習してきて、練習の吉田さんと試合の吉田さんはまったく違うので、想像がつきません」
Q:どうして吉田戦にこだわったのですか?
中村「PRIDE時代からどれだけ努力しても超えられない壁でした。昨年、石井慧選手と戦うことが決まった時に、チャンスがないと思っていたのですが、
今回チャンスが巡ってきて知名度的にも実力的にも超えられると思ったからです」
Q:両者にとって思い出に残っているエピソードはありますか?
吉田「お互い試合にセコンドに就いたり、就いてもらったり。吉田道場のクリスマスパーティでサンタクロースやったり、トナカイやったり...」
中村「一つだけ挙げろと言われたら厳しいのですが、東京ドームで最初のヴァンダレイ・シウバ戦であったり、一緒に飲みに連れて行っていただいたり、
エピソードはいっぱいあります」
Q:道着は着ますか?
吉田「最後の試合となりますので、着ます」
中村「着ません」
Q:勝ちにいきますか、倒しにいきますか?
中村「勝ちにいきます。いつも通り、総合的な戦いをして。そのためにも今日から一切口をきかないくらいの気持ちでいます」
Q:吉田選手の古傷やケガしている箇所を知っていると思いますが、そこも攻める?
中村「さっきも言ったように私情は挟まないということです」
緊迫したムードで会見は終了し、吉田、中村、長南、國保代表の順番で囲み取材が行なわれた。
以下がその内容。
吉田「(カズは)入門した頃に比べれば、かなりレベルアップしている。実力はある選手ですけど、試合と練習は違う。練習では思いっきり殴り合わない。
マッチメイクとしては外国人ならエメリヤーエンコ・ヒョードルとやりたかった。できなくなってしまったのは仕方ない。検討してくれたことがありがたい。
日本人ならカズくらいしかいなかった。僕の持っているものを全部あいつに渡すつもりで戦う。リングに上がったら敵、お客さんは真剣勝負を観に来ているわけですから。
体重差に関してはカズのほうが重い時もあったくらい。(道着は不利になるのでは?)不利になるかもしれないが、そう簡単にはとられない。
最初は殴り合いになるでしょうね」
◆中村和裕
「昨日の夕方に社長から連絡をもらい、吉田選手との対戦が決まったことを知らされました。決まったら決まったで、不安にかられました。
道着を着ないのは自分は柔道家ではなく、総合格闘家だと思っているからです。ASTRAの最初の会見の時に、やると言った時はラクだったのですが、
昨日の連絡があってからいろいろ考えてしまって、パウンド入れちゃっていいのかな、やってやるというスイッチを入れていない気持ちがまだある。
練習では感じない部分を試合で感じるのが吉田さんの強さだと思います。気持ちの整理がついていない状態です。
当日、セコンドはいらないです。水をくれる人がいれば、それだけでいいです」
◆長南亮
「吉田先輩の引退興行でなかったら出てなかったです。連戦とかしないし、今までも断ってきたし、一つの試合に全力集中するのが自分のスタイルですから。
拳を痛めていますが、一生に一度の吉田先輩の引退興行なので、自分にムチ打って出たいです。
実はアンドリュース・ナカハラ戦の前からチラッと話は聞いていたのですが、試合が終わってからゆっくり話を聞くつもりでした。
DREAMと契約している身なので、DREAMから送り出してもらわないといけなかった。韓国のデータがない選手でリスクはありますが、自分が華を添えるために決断しました。
吉田先輩というのは、男が惚れるような人です。心こら笑って、バカみたいな飲み方もされますし。
自分が以前に所属していたジムをやめた時も、一緒に練習しないかと誘っていただいたり、吉田先輩と國保社長は、自分がUFC行く時もすごく激励してくださった。
吉田さんはとにかく若いメンバーを連れて飲みに行ったり、面倒見がいい、壁のない兄貴分の存在です。
カズに関しては、やりたいのなら、周りに伝えるような試合をしなかればいかないと思う。自分たちで分かり合えばいいという問題ではないと思う」
◆國保尊弘代表
「昨年2月、菊田選手に負けた後に吉田がやりたいと口にした男がカズでした。引退興行である以上、単発の試合で終わらせたくなかった。
中村からはどうしてもやりたいと言われていた。デニス・カーンVSカズで一時はカードは決まっていましたが、こういうことになりました。
中村には昨日、連絡した時に伝えました。一緒に練習してきた者ならば分かるはずだが、試合と練習では吉田は違うと。
吉田は誰が相手でも嫌という相手ではないですから、今回このような発表の運びとなりました」